記述に対するコメント(アクションのプラン)
1. アクションがどういうものなのか知らないまま、パニトコフとV. D.が昼間、森の中の雪原へとやってくる。雪にあまり大きくない穴が掘られて、その中に椅子が置かれる。パニトコフが椅子に座ると、他の参加者たちは座っているパニトコフを上からボードで覆い(雪の上、穴の四方に垂直に固定した柱を使う)、ボードの上に雪をかけ始め、雪の丘を作って、その中の暗闇にパニトコフが座っているようにする。
参加者たちは事前にパニトコフと、二度目に静寂が訪れたらすぐに椅子から立ち上がり、頭上のボードを持ち上げるよう取り決める。行為中ずっと、パニトコフの丘のすぐ側や周辺で、異なる周波数に合わせた6台のラジオが最大の音量で鳴っている。
2. パニトコフの丘が建ったら、それに密接して同じ要領で第二の丘が建てられ、その中にはV. D.が座っている(第二の丘の作製に伴う作業の騒音は、ラジオによって妨げられているので、パニトコフはこの第二の丘のことを知らない)。
参加者たちはV. D.と、一回目に静寂が訪れたらすぐに椅子から立ち上がり、頭上のボードを持ち上げるよう事前に取り決める。
3. V. D.の丘が建ったら、パニトコフの丘には少なくとも4×4mの黒い遮光性の布がかぶせられる。
4. 木に結び付けた複数のロープと遮光性の紙または布を用いて、雪に覆われた二つの丘の上に、長さ5m、幅4m、高さ2.5mの箱が作られる。
5. 遮光性の箱ができたら、フラッシュ付きカメラを持った参加者が中に入る。
すべてのラジオのスイッチが切られる。
V. D.が自分の丘の中で立ち上がり、頭上のボードを持ちあげる。
このときカメラを持った参加者が写真を数枚撮影する。それから二人は箱から出るのだが、その前にV. D.の丘の後に残った雪山をきれいに片づける。
再びラジオのスイッチが入れられる。
6. 二人の参加者が箱から出た3-4分後、ラジオが二度目に切られる。
7. この間ずっと丘の中の暗闇に座っていたパニトコフは(丘の暗闇その1)、椅子から立ち上がって頭上のボードを持ちあげる。
8. こうして丘を壊しても、丘の上には遮光性の布がかかっているため、彼はやはり暗闇の中にいる(布の暗闇その2)。
9. 布を剥ぎ取っても、パニトコフはやはり暗闇の中にいる(箱の暗闇その3)。
10. その後の行為は、パニトコフが自分で決定して行う。
記述
アクションのプランを計画された形で実行することはできなかった。建てられたのはパニトコフの丘だけで、おまけに、布が小さく、パニトコフがボードと一緒に剥いでしまったため、布の暗闇は形成されなかった。箱の暗闇は、丘の暗闇よりいくらか明るくなってしまった(紙にごく小さな穴が複数あったため)。
モスクワ州、リシスカヤ鉄道、<スニギリ>駅
1980年2月17日
A. モナストゥイルスキー、N. アレクセーエフ、E. エラーギナ、S. ロマシコ、I. マカレーヴィチ、I. ヤヴォルスキイ
翻訳 生熊源一・上田洋子
Translated by Genichi Ikuma/Yoko Ueda